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女性が働きやすいバス会社vol.002

女性運転手比率は全国平均の倍!女性採用数右肩上がりの秘密に迫る

京成バス株式会社

2018.10.10

2018年6月30日現在、女性運転手の在籍人数が50名を突破した京成バス。全運転手1,510名に対し女性比率が3.4%と、多くの女性がバス運転手として活躍する同社に取材し、女性の働きやすさ・定着率の良さについて紹介していきます。

女性バス運転手インタビュー

2017年入社、未経験から転職し、現在は路線バス運転手として活躍する渡邊さん・金井さんにお話しを伺いました。

-バス運転手になろうと思ったきっかけを教えていただけますか?

渡邊さん:前職はエステティシャン・化粧品販売の接客等をしておりました。友人が住んでいる地域に京成のコミュニティバスが走っていて、そこに「バス運転手募集中」と書かれていたのを目にしたのがきっかけです。元々運転が好きだったこと、その友人が私に言った「バス運転手、向いているんじゃない?」という何気ない一言がきっかけで、「こういう仕事もあるんだな」と思い始めました。

金井さん:前職は事務職で、その前にトラック運転手として12年程働いていました。元々車は好きでしたね。トラック運転手は勤務時間が不規則で大変だったため、事務職に転職したのですが、事務職をしている自分が「自分らしくない」と感じていて、「いつか機会があれば、また運転の仕事をしたい」と思っていました。その時は、バスの運転手は全然考えていませんでした。ただ、あるバスに乗った時、女性が運転していたのを見て、「女性でもバス運転手になれるんだ」と思い、「トラックに限らず、バスもいいな」と思ったのがきっかけです。

今回お話をお伺いした、京成バス株式会社の運転手、渡邊さん(左)と金井さん(右)。お二人とも路線バスに乗務されている。

-数あるバス会社の中で、なぜ京成バスを選ばれたのですか?

渡邊さん:はじめに「運転手募集中」の広告を目にしたのが京成バスのコミュニティバスだったことです。また、前職では職場が自宅から遠く通勤が大変だったのですが、今在籍している営業所が自宅から近く、通勤しやすいことも理由の一つです。

金井さん:いくつかのバス会社さんの採用情報を見て比較していましたが、その中で、京成バスが積極的に女性を採用している、というアピールが目立っていたことです。採用サイトや新聞広告にも女性の採用について書かれていて、他社はあまり書かれていなかったんですね。やはり、書かれていないよりは書いてある方が安心だったので、「私も入社後バス運転手を続けていきやすいかな」と感じました。

-実際に入社されて、バス運転手の仕事で「想像と違ったな」ということはありますか?

金井さん:運転だけではなく、機械操作や接客も同時に行うので、かなり気を遣います。以前トラックを運転していた時も、大事なお荷物を運んでいたので慎重になりますが、バスは人の命を預かっているので、かなり神経を使いますね。車内で事故を起こしてはいけないので、常にお客様の動きを見るようにしています。ちょっとしたことでお客様が転んでしまうこともあるので、そういったことがないよう、優しい運転をするように心がけています。

渡邊さん:運転しながらの接客もそうですが、私は普通車しか乗ったことが無かったので、バスという大きい車両・マニュアル車の運転という技術面も、やはり初めは大変でした。私は養成制度を利用して大型二種免許を取ったので、自動車教習所での教習もたくさんやりましたし、入社後も研修所で苦手なところを走らせてもらったり、営業所配属後にも苦手な部分の走行練習をさせてもらいながら先輩や指導運転士の方からアドバイスをいただいたりすることで、しっかり運転技術を磨きました。

-バス運転手のやりがいは何ですか?

渡邊さん:やはり、お客様から「ありがとう」や「お願いします」と笑顔で言われるのは嬉しいですね。お客様を無事目的地までお連れできたなという達成感もあります。感謝されたり、たった一言言葉をいただけるだけでも、「バス運転手をやっていてよかったな」と思います。

金井さん:「女性の運転手さんのバスに乗るのは初めてだわ」と言ってもらえたり、降りられる際に「ありがとうね」「頑張ってね」と言っていただけたりすると嬉しいですね。まだ女性の運転手が少ないので、「女性が頑張っている姿を見ていると、元気をもらえるわ」と言っていただくこともあります。小さいお子さんが手を振ってくれることもあり、普段緊張感を持って運転している分、そういう時は、心が和むというか、嬉しい気分になりますね。

女性ならではのお客様とのやり取りについて笑顔で語る、渡邊さん(左)と金井さん(右)。

-営業所の雰囲気はいかがですか?

渡邊さん:同じ営業所に同年代の女性がもう2名いるので、シフトがあった時にはよく話をしていますね。

金井さん:そうですね、時間が合って女性運転手と会うときは、休憩室で30分から1時間位話していることもあります(笑)。女性同士ももちろんですが、男性とも気さくに話すことができます。

-女性はもちろん、男性の先輩や同僚とも話がしやすい環境ということですね。

金井さん:そうですね、私が入社した時は、営業所に女性が既に2名いました。男女問わず話しやすく、先輩方も気さくに話してくれました。

渡邊さん:営業所内の雰囲気に通じるところもありますが、先輩がよく気にかけてくれるところがありがたいですね。こちらが気付いていないようなことでも、見てくれていたり、声を掛けてくれたりします。

-シフト制の仕事ですが、お仕事とプライベートの両立はいかがですか?

渡邊さん:あらかじめ勤務時間が分かっていれば、それに合わせて支度をしたり、時間がある時に家事をしたりすることができます。前職は残業などもあり終わりの時間が分からないことが多かったですが、今は前もって勤務時間が分かるので助かっています。

金井さん:基本的にはシフトは数か月前に分かるので、それを見ながら対応できます。違うダイヤになることもありますが、それも1週間位前に分かるので調整もできますし、それで苦労しているということはないですね。前職の事務では、例えば月末に締めの業務があったりすると、何日か仕事のことを引きずってしまいますが、バスの運転手は、その日一日無事に帰ってこれば、その日の仕事は終わりになります。その点は、気持ち的にも楽ですね。

-最後に、これからバス運転手を目指す女性や、京成バスに興味がある女性にメッセージをお願いします。

金井さん:男性が多い職場なので戸惑いがあるかもしれませんが、男性も気さくに話してくれるので、人間関係は特に心配いらないと思います。運転と、人と接することが好きであればバス運転手になれると思います。もしバス運転手になりたいと思ったら、一度はチャレンジしてみてほしいなと思います。

渡邊さん:金井さんのおっしゃる通り、男女ともに、仕事仲間として気さくに接してくれます。シフトは不規則ではありますが、前もってわかっているので自分なりにスケジュールを組めます。
お客様も女性の運転手がもっと増えたらいいなと思ってくださっていると思います。お年寄りの方も多いので「女性の方だと安心できるわ」と言われたり、笑顔になってくれたり、「今日は女性の方だね」とお話しされている声が聞こえてくることもあります(笑)。同じ時間にバスに乗られる方に、今まで自分から挨拶していたけれど、お客様の方から挨拶して下さる…といった関係性が出来てくるのも楽しいです。そういったこともあるので、人と接するのが好きな方にはお勧めですね。

-本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

京成バスの設備

次に、新築された営業所の様子を紹介します。

  • まずは営業所窓口。とても広々としており清潔感がある。
  • 女性専用の休憩室。営業所窓口に近く、乗務終了後、すぐに休憩室に来て、靴を脱ぎ、足を伸ばしてゆっくり休むことができる。
  • 休憩室の奥、シャワー室手前のロッカールーム。 空調完備、一人ひとつ大きなロッカーが用意されている。
  • 女性専用シャワールーム。
    ロッカールームや洗面所に近く、こざっぱりとしておりきれいな印象だ。
  • 洗面所。
    洗面台や鏡は大きく、使いやすそうだ。

人事担当者インタビュー

-京成バスが、女性採用を強化した背景を教えて下さい。

背景は2つあり、1つは女性活躍推進法の成立、もう1つはお客様からの評判の良さです。女性運転手の接客はきめ細やかで好評をいただいていたということもあり、女性の採用を強化していくことになりました。

-実際に行った取り組みを教えて下さい。

大きな取り組みとしては3つあります。1つ目は、女性の目に留まるよう、採用ツールに女性モデルを起用したことです。求人の新聞折込みチラシやポスター、採用ホームページで起用するモデルを男性だけではなく女性のモデルも使用し、女性向けのページを設けて設備や制度をアピールするようにしました。 2つ目は、環境の整備です。営業所だけではなく、出先の車庫にも、女性専用休憩室やウォシュレット付きのトイレ等お手洗いの整備を進めています。その他、運転がしやすいオートマチック車(以下、AT車)の導入も進めていて、現在では路線バス車両では約44%がAT車となっています。路線バスだけではなく高速バスの車両にもAT車の導入を進めております。

京成バス株式会社 総務部人事課 小林さん。
運転手の採用担当として、普段は求人手法の研究に加え、応募受付から入社手続きまでを行う。今回は、京成バスが実施する女性採用の取り組みについて伺った。

-高速バスへのAT車導入は珍しいですね。女性でも高速バスに乗務している方はいますか?

はい。現在、高速バスに乗務する女性運転手も複数名在籍しており、中には20代半ばの女性運転手もおります。営業所によっては、早い者では男女ともに入社して1年半から2年で路線バスから高速バスへステップアップする者もいます。

-女性も高速バスへのステップアップができるということですね。その他の取り組みを教えて下さい。

3つ目として、制度の整備を進めており、日中時間帯に業務が終わる働きやすい路線を女性専用の路線にした他、ショッピングセンターの無料送迎バス等も日中の運行がメインのためそのような路線も主に女性に担当してもらっています。また、育児短時間ダイヤといって、午前8時から午後6時の間に出退勤が完結するダイヤもあります。こちらは男女ともに申請できるもので、現在男性1名の利用実績があります。

-数多くの施策を実施されてきたと思いますが、女性採用に効果があったなと感じたのはどの施策でしたか?

女性からの応募が増えたと感じたのは、女性用の設備や制度をアピールした、女性向け採用ホームページを充実させたことです。採用パンフレットにも女性向けのページを1ページ設けてPRしていることも大きいと思います。
昨年度、女性限定の説明会を実施したところ、参加者3名のうち1名の方に入社していただけました。
また、女性の運転手を見かけると、「自分にもできるのでは」と思われる方も多いようで、そういった意見を採用時によく聞きます。女性運転手が増えたことによって、さらに応募・採用が増えてきていると感じます。

-ニュースリリースで御社の女性採用人数や在籍人数が発表されていましたが、採用人数は2013年度5名から2017年度12名に増加し、在籍人数も22名から49名と倍以上に増加しています。採用数・在籍数ともに増えるということは、入社された女性がすぐ退職せずに定着している証拠ではないかと思います。定着できる理由はなんでしょうか。

営業所の管理者が女性運転手を気にかけるようになったことや、女性の採用数が増え、どの営業所にも2名以上の女性がいることも、働きやすさや安心感につながり、定着率向上に寄与しているのではと考えています。現在では、全営業所合わせて、20・30代が4名ずつ、40代が29名、50代が12名、60代が2名と、幅広い年齢層の女性運転手が在籍しています。

「採用に携わった運転手の顔と名前は全て覚えています」と語る小林さん。女性バス運転手の採用に賭ける思いを語ってくれた。

-どの営業所に配属になっても女性運転手の先輩がいること、設備等の整備を進めていること、営業所の方々も女性を受け入れる心構えがあることは大きいですね。御社が進める取り組みについて、現場の運転手さんからの評判はいかがですか?

制度自体は比較的最近始めたものなので、現場からの声が届くのはもう少し先だと思います。設備については、女性専用の設備を整備する際にこれまで使用していた設備も整備しているため、女性に限らず男性にも喜ばれているのではないかと思います。

-現場の運転手の皆さんにとっては、自分達の為にこれだけの設備や制度を整えてくれているという点や、近年女性の採用が毎年2桁という採用実績で、自分が働こうと思った時に同性が多くいると安心できる点が大きいですよね。これから、より強化していきたいと考えている点を教えて下さい。

車両のAT化です。当社はAT限定不可なので応募される方は皆さんマニュアル免許を持っていらっしゃるのですが、大型二種免許の取得費用を当社が負担する運転士養成制度を使う女性も多い為、「AT車しか普段運転していないので大丈夫かな」と心配する声も多いです。やはりAT車が増えると、運転技術の不安はより軽減されるのではないかなと思います。
また、設備の改修は引き続き行っていく予定です。

-養成制度を使われる方が多いんですね。

最近の応募者のうち女性に限ると、未経験者・経験者が大体同じ程度の割合です。未経験の方は養成制度希望がほとんどです。
免許取得後も、安全に乗務できるよう研修体制を整えておりますので、未経験の方も安心して応募いただけます。

-最後に、これから京成バスさんへの応募を考えている方へメッセージをお願い致します。

女性運転手の割合は全国平均で1.7%(日本バス協会調べ)となっていますが、今、当社の女性運転手の在籍人数は51名、女性運転手の割合が3.4%と全国平均の倍の数値になっています。今後も労働環境等を整えていき、女性運転手の皆さんが安心して働ける環境を作っていきます。
当社の採用試験は、実技試験が一切ありません。運転技術に不安のある方も多くいらっしゃるかもしれませんが、選考は人物重視で実施しておりますので、そこは心配なさらずにぜひ受けていただきたいと思います。また、入社後は充実した研修制度がございますので、未経験の方・ブランクのある方も技術をしっかり磨けます。運転・接客が好きな方、バス運転手として地域に貢献したい方にぜひご応募いただきたいと思います。

-ありがとうございました。

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